不動産の取引

不動産取引とはなにか

不動産に関する取引は多々あります。例えばすぐ思いつくのは不動産の売買です。他に交換、贈与、賃貸借や地上権の設定などがあります。

不動産取引の中でとりわけ重要なのは、不動産売買と不動産賃貸ですが、不動産は扱う金額が大きく、人によって取引は一生に一度しか経験しない方もいるでしょう。そんな一生に一度しかしない大きな買い物が、もし失敗してしまったりしたら、取り返しのつかないことになってしまいます。

なので不動産に関する取引や商慣行、税制などは、法律でガチガチに規制されており、悪意ある人が入り込めなく、また取引経験の浅い人でも失敗しないように配慮されています。

私たちはファイナンシャルプランナー、プロになるわけですから、不動産に関する法律は、FP業務の中でも重要な業務になるので、すべてを知っておかなければなりません。この章では、不動産取引にはどのような種類があり、法律や規制があるのかを学習します。

宅地建物取引業法

不動産の取引で不動産の売買や賃貸借を行う場合、専門的な知識を必要とします。そこで国は不動産を円滑に取引できるようにする目的で、利益の保護と宅地建物の流通の円滑化を図るために、宅地建物取引業法という法律を定めました。

宅地建物取引業法の条文には、宅地建物取引業を営む者であれば、取得しておかなければならないと書かれており、また違反したものは免許取り消し処分や、3年以下の懲役などの罰則があると書かれています。

宅地建物取引業法に書かれているその他の内容は、宅地建物取引業の定義、宅地建物取引主任者について、免許の種類と効力と欠格事由、営業保証金の供託、事務所等に関する定め、媒介契約の締結、重要事項の説明、報酬の制限など、今読んだだけではピンと来ないと思いますが、不動産を扱う者にとってかなり強力に制限されているのが宅地建物取引業法になります。

ちなみに宅地建物取引業の免許を持っているのは誰なのかというと、イメージとしては不動産屋さんです。タワーマンションを自ら開発している大手の〇〇建設から街の小さな不動産屋はみな、宅地建物取引業法に基づいて試験を受け、合格し、免許を交付してもらい、不動産取引をしています。

宅地建物取引業

宅地建物取引業とは、次の取引を業として行うことをいいます。

  1. 宅地、建物を自ら売買・交換すること
  2. 宅地、建物の売買・交換および貸借の代理をすること
  3. 宅地、建物の売買・交換および貸借の媒介をすること

少しややこしいです。まず「業(ぎょう)として」です。業というのは、不特定多数の人に反復継続して、という意味です。何度も繰り返して取引をしている人が、3つの要件のうちどれかに当てはまると、宅地建物取引業に該当し、免許が必要になります。

一般的な人であれば、家を一生のうちに一回購入する程度だと思います。なので、要件1の宅地建物の売買に当てはまりますが、業ではないので宅地建物取引業に該当せず、免許がなくても取引ができるのです。

代理(だいり)というのは代わりにしてもらうということです。媒介(ばいかい)は仲介とほぼ同じ意味です。図にまとめるとこのようになります。

宅地建物取引業の取引
売買・交換貸借
自ら×
代理
媒介

マルがついているとこは宅地建物取引業に該当するので免許が必要で、バツがついているところは宅地建物取引業に該当しないので、免許が不要になります。バツの場合は例えば、自らが貸主になって賃貸業を行うこと、自分でアパートを建てそのアパートを不特定多数に貸すことを業にしている場合は、免許は不要になります。

宅地建物取引士

宅地建物取引業法によれば、宅地建物取引士は指定機関による国家試験に合格し、都道府県知事の登録を受け、都道府県知事から宅地建物取引士証の交付を受けた者が宅地建物取引士になります。

試験に合格しただけでは宅地建物取引士とは名乗れないところはチェックです。(ちなみに試験に合格した人は、宅地建物取引士試験合格者といいます。)

宅地建物取引業者

宅地建物取引業者(宅建業者)とは、免許を受けて宅地建物取引業を営む者のことです。一般的な街の不動産屋さんのイメージです。

媒介契約

宅地建物取引業者は、宅地建物の売買や交換の媒介契約を締結した場合には、遅滞なく一定事項を記載した書面を作成し、依頼者に交付しなければならないとしています。

媒介というのは仲介という意味で、例えば「建物を売りたいけど相手を探してきて」と業者に媒介を申し込むことがあります。この時、媒介契約をした場合、書面を交付しなければならないということです。

また、媒介契約には一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約の3種類あり、内容は次のようになります。

一般媒介契約専任媒介契約専属専任媒介契約
媒介契約の内容依頼者が他の宅建業者に重ねて媒介の依頼ができる依頼者が他の宅建業者に重ねて媒介の依頼ができない専任媒介契約のうち自己発見取引ができない
他の業者への依頼不可不可
自己発見取引不可
有効期間定めなし3ヵ月3ヵ月
指定流通機構への登録義務登録義務なし7日以内5日以内
業務報告義務報告義務なし2週間に1回以上1週間に1回以上

専任というのは任せるという意味なので、任せたからには逆に自分は行ってはいけないと、縛りがどんどん強くなっていくイメージです。

自己発見取引というのは、依頼者が自ら探して発見した相手との取引のことをいいます。「この物件売りたいから買主を探してきて」と媒介の契約をしたのにも関わらず、自分で相手を探して来てしまうのは契約違反です。自己発見がペナルティになるかどうかは契約によって変わります。

指定流通機構というのは、ザックリ言うと不動産屋専用のネットワークです。専任媒介契約にすると取引したいと依頼された物件を、指定流通機構へ情報を載せなければならないことになっています。

ファイナンシャルプランナー3級試験では、ここまで問われることはないでしょう。媒介契約が3つ言える程度で十分です。

重要事項の説明

宅建業者は、宅地建物取引業法により契約成立前に物件の取引上重要な事項を説明しなければなりません。これを重要事項説明といいます。

宅地建物取引業者の報酬の制限

宅建業者が受ける報酬には、一定の基準が設けられています。報酬の額は、国土交通大臣の定める額を超えて、受け取ってはいけないことになっています。また、業務によっても限度額が変わります。

宅建業者さんは大変ですね、報酬くらい自由に決めさせてあげればいいのに。表にすると以下のようになります。

売買・交換の媒介の時の報酬限度額
売却等の金額報酬の限度額
200万円以下売買代金×5%
200万円超400万円以下売買代金×4%+2万円
400万円超売買代金×3%+6万円
※消費税・地方税は含まれていないので、別途計算する必要があります。

例えば1,000万円の物件を媒介契約で売却したとすると、宅建業者に支払われる報酬は、表より一番下の行1,000万円×3%+6万円=36万円になります。タワーマンション100億円クラスになると、かなり大きい報酬になりますね。

以上です。ポイントとしては、不動産の取引には、免許を持つ取引業者がいて、法律で細かくルールが決められている。という感じです。