都市計画法

不動産に関する法令上の規制シリーズです。前の章では宅地建物取引業法、借地借家法など、不動産に関係した法律を学習しましたが、宅建業法以外にも不動産に関係した法律はまだまだあります。どのようなものがあるのかというと、ファイナンシャルプランナー試験の範囲の中では、都市計画法、建築基準法、国土利用計画法、農地法、区分所有法があり、これらを学習することになります。まずは都市計画法です。

都市計画法

都市計画法は総合的な街づくりの計画を行うための法律です。ザックリいうと、住みよい街づくりを作ることが目的になります。

都市計画区域

都市計画区域は、すでに市街地を形成している区域で、かつおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域です。

都市計画区域は、都道府県知事や国土交通大臣が指定する区域で、都市づくりの計画を立て、総合的に整備・開発を行い住みよい街づくりをすることが目的です。

都市計画区域の前にまず、都市計画で土地は、都市計画区域、準都市計画区域、区域外の3つに分けられ、さらに都市計画区域は区域区分によって市街化区域、市街化調整区域、区域区分が定められていない都市計画区域(非線引区域)に分けられ、最終的に土地は大きく5つの区域に分けられます。

<都市計画のイメージ>

都市計画区域のイメージ

やみくもにあちこちに家を建てても秩序ある街はできません、そこでまず範囲を決め、この範囲は都市に、この範囲は意図的に建物を建てない、この範囲は何もしないという具合に、都道府県知事が最初に都市計画区域を定めます。

都市計画区域
都市計画区域線引区域市街化区域すでに市街地を形成している区域
おおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域
市街化調整区域市街化を抑制するべき区域
区域区分が定められていない都市計画区域(非線引区域)都市計画区域のうち市街化区域、市街化調整区域に区分されていない区域
準都市計画区域都市計画区域のうち、そのまま土地利用を整序することなく放置すれば、将来における都市としての整備、開発および保全に支障が生じるおそれのある区域
都市計画区域・準都市計画区域以外の区域都市計画区域、準都市計画区域以外の区域

市街化区域の「すでに市街地を~おおむね10年以内(略)」と、市街化調整区域の「市街化を抑制するべき区域」の定義は覚えておいてください。

地域地区

都市計画区域の続きで、次に市街化区域・市街化調整区域が決まったら、市街化区域内をどのように都市化するかの計画を立てていきます。

都市計画の種類は用途地域、高度地区、防火地域など11種類ありますが、ファイナンシャルプランナー試験3級では用途地域が出題され、用途地域はさらに13種類の地域があります。

用途地域の種類
第一種低層住居専用地域低層住居に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域
第二種低層住居専用地域主として低層住居に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域
田園住居地域農業の利便の増進を図りつつ、これと調和した低層住居に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域
第一種中高層住居専用地域中高層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域
第二種中高層住居専用地域主として中高層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため定める地域
第一種住居地域住居の環境を保護するため定める地域
第二種住居地域主として住居の環境を保護するため定める地域
準住居地域道路の沿道としての地域の特性にふさわしい業務の利便の増進を図りつつ、これと調和した住居の環境を保護するため定める地域
近隣商業地域近隣の住宅地の住民に対する日用品の供給を行うことを主たる内容とする商業その他の業務の利便を増進するため定める地域
商業地域主として商業等の業務の利便を増進するため定める地域
準工業地域主として環境の悪化をもたらすおそれのない工業の利便を増進するため定める地域
工業地域主として工業の利便を増進するため定める地域
工業専用地域工業の利便を増進するための地域

用途地域は市街化区域については少なくとも用途地域を定めるものとし、市街化調整区域は原則として用途地域は定めないとされています。市街化区域は積極的に市街化を図る区域なので、用途地域は必要ですね。反対に市街化調整区域は市街化を抑制する区域ですから、用途地域は必要ありません。

ファイナンシャルプランナー試験3級で直接内容を聞かれることはないと思うので、丸暗記する必要はないと思いますが、どのようなものがあるのかは、ザックリとチェックしておいてください。

開発許可制度

都市計画法では都市の無秩序な開発を防ぐために、一定の開発行為を都市計画区域内および準都市計画区域内で行う場合は、事前に都道府県知事の許可を受けなければならないという、開発許可制度を定めています。

一定の開発行為というのは、

・建築物の建築

・特定工作物の建設

・土地の区画形質の変更

です。要するに工事です。なぜ許可が必要なのかというと、理由は単純で、乱開発を防止するためです。逆にいえば非線引き区域のような、乱開発しても影響が少ないところは、許可が不要になります。

開発許可が必要な面積
市街化区域…1,000㎡以上の開発行為は許可が必要
市街化調整区域…面積にかかわらず許可が必要
非線引き区域・準都市計画区域…3,000㎡以上の開発行為は許可が必要
上記以外…10,000㎡以上の開発行為は許可が必要