不動産の賃貸借契約

土地や建物を借りるときは賃貸借契約をすることになりますが、契約の根拠になるのは民法です。しかし民法は古くて時代にそぐわなかったり、借りる側は不利な内容だったりするので、民法とは別に、借地借家法という法律が定められています。

借地借家法

借地借家法は土地や建物の賃貸借契約に関する法律で、借地というのは他人から土地を借りる権利のことで、借家というのは他人から家を借りる権利のことをいいます。民法にも借地に関する規定はありますが、民法の賃貸借をそのまま適用せず修正したり補ったりする目的で、借地借家法が定められています。

地主と借地権者(土地を借りる人)の借地契約や、大家さんと借家人の借家契約のルールになります。

借地関係

借地借家法の借地関係には普通借地権と定期借地権があり、両者の違いは契約期限が到来した時の契約更新の有無です。

普通借地権

普通借地権は、地主に正当な事由がない限り、借地人が望めば同一条件で契約が更新されるタイプの借地権です。

存続期間が満了したとき、原則としてこれまでと同条件で契約が更新されることになります。土地を貸し続けなければいけないんです。かなり強力です。

定期借地権

定期借地権は、更新がなく期間が定められた借地権です。

普通借地権の場合、貸主はずっと自分の土地を利用することができなくなる可能性がありますが、定期借地権は期限かあるので、貸主有利な契約になります。

定期借地権には、3つの種類があります。

3つの定期借地権
普通借地権一般定期借地権事業用定期借地権建物譲渡特約付借地権
特色通常の借地権建物の用途に制限のない定期借地権建物の用途は事業用に限定の定期借地権契約期間満了時、建物付きで返す契約の定期借地権
契約の存続期間30年以上50年以上10年以上50年未満30年以上
更新最初の更新は20年以上、2回目以降10年以上なしなしなし
契約期間修了時原則更地で変換原則更地で変換原則更地で変換建物付きで返す

FP3級試験でのポイントは、3つの定期借地権を知っているかどうかと存続期間何年がわかっているかくらいです。

借家関係

借家権は他人から建物を借りる権利をいい、借家権には普通借家権と定期借家権があります。

次は家を借りる立場になった場合です。

普通借家権

普通借家権は存続期間の制限が存在せず、貸主に正当な理由がない限り契約が更新され続けます。

定期借家権

定期借家権は、更新がなく期間が定められた借家権のことです。

普通借家権と定期借家権の特徴
普通借家権定期借家権
契約の存続期間1年以上契約で定めた期間
契約の方法制限なし公正証書などの書面による
更新借家の期間が満了によって契約が終了するが、貸主が正当な理由をもって更新の拒絶をしない限り契約は存続する。契約期間が1年以上の場合、貸主は期間終了の1年~6ヵ月前の間に借主に対して、契約が終了する旨の通知をしなければならない。

造作買取請求権

賃借人は、賃貸人の同意を得て取り付けた造作(エアコン、建具など)は、賃貸借修了のときに買い取りの請求をすることができます。このことを造作買取請求権といいます。

しかし賃貸人は、特約を定めることにより造作請求権を排除することができます。