収支計算

家計簿を誰が使用するかということを考えたとき、みずからがつけ、自ら使うという独立自己完結型ということについて、視点を変えて、他にもう一点いえることがあります。

それは、家計の財産状態を把握することに重点をおく、財産計算よりも、どちらかといえば、家計の収支を重要と考える損益計算が中心になるということです。

これは家計が消費中心のサイクルで経済活動が行われているからですね。普段私たちがとっている行動なので、わかると思います。

このことから、儲け・利益の追求を前提としていない家計の経済においてとる行動は、現在の収入を超えない生活、収入の範囲内で生活をしていくという計入制出(入るを計って出るを制する)という行動をとるということになります。

と同時に、企業のように営利、つまり資金を集めて、その資金を運用することによって、利益を得て事業を拡大していくという、資本主義の経済構造を行うことが前提ではないということが、企業と家庭との大きな違いの一つではあります。ここは知っておいてください。

簿記という記録技術を考えた場合、企業の経済活動を記録することと、家庭の経済活動を記録することは共通するところもありますが、決定的に異なる部分もあるということです。環境が変われば簿記も変わるということですね。

このことをふまえて、家計の中で簿記をどのように記録をしていけばいいのかということを考えたとき、先ほどの財務諸表をもとに記録ということを考えたばあい、家庭の収支部分、収支計算書を優先して使用することになります。

優先というよりは、それしか使わないと考えてもらって結構です。